本書は日本の将来人口が減少していくという、不可避の現実の中でどのように、事態を理解し対応していくべきかを書いている。人口減少は望ましくないから、何としても増加させる必要がある。そのために政府の計画などでは、人口の増加がこのくらいでないと、こうなるといった見通しが示される。望ましい社会となるための出生率があるが、どうみても非現実的である。しかしあるべき姿を論じているのだから、実現しそうでなくともいいというのか。
本書ではあわせて地方の将来人口に対する議論もある。人口の変化の問題は地方でそのまま出てくる。地方も将来人口を国の数字に合わせ、つまり現実的でない値を挙げているが、もちろん実現するとは思っていないであろう。非現実であっても、赤信号みんなで渡れば怖くないの例であろう。
著者は、これまでのなんとしても現実は容認しがたいから、できそうになくとも理想の方向に持っていくべきという政策思考に異議を唱える。例えば、東京一極集中はよくないから是正すべきという理屈に対しても、東京に集まりたいから、その理由があるから集まっているのに、それが望ましくないと言うのはおかしいと言う。人々を強制的に「望ましい」方向へ変えようとする発想は、確かに反経済学的思考である。将来の人口減少に対しても、それは不可避である。だからそれを前提として政策を考えるべきという主張である。
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