作家モームの回想録であり、芸術論であり、また人生論になっている。
いわゆる生い立ちを綴っていくという自伝らしい自伝ではない。必要に応じては自分の経歴を書いている。モームが自分の意見を吐露するといった本か。1874年生まれのモームが64歳の著である。普通の感覚で言えば自伝を書いて回想しても不思議ではない。モームは長寿で戦後20年も生き、90過ぎまで生きた。だから戦前の著である本書は人生半ばの記録にも思える。
モームの小説は面白いようにこの回想も面白い。モームの実際の晩年にまた回想録を書いたなら、随分違った内容になったろうか。(新潮文庫、中村能三訳、昭和43年)
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