主人公のジョヴァンニ・ドローコは将官に任命され、北方にある砦に勤務に赴く。初めての仕事であり、砦の防衛に期待、夢を抱いていた。
途中で同じ砦に勤務する将官に会い、連れて行ってもらう。砦の雰囲気は期待とはかなり違い、司令官以下やる気がなく随分つまらなそうな職場にしか見えなかった。もし帰ろうとすればすぐにも帰れるが、それも手続きが必要であり、医者の診断書を書いてもらって出ていった方が後のためにもいいと言われる。ただそれには四か月待たなければならなかった。砦の同僚の士官や部下と付き合う。四か月経って軍医と面会する。軍医は診断書を書いてよいと言ったのだが、なぜかその時今砦を出るのは止め、留まると答える。それから幾年か砦で過ごす。休暇がとれて故郷の町に帰る。町や友人は変わっていた。結婚するつもりだった恋人とも会うが、お互いにぎこちなく会話の後、別れる。砦に戻る。
何十年も経つ。主人公は五十代半ばになり、砦の副司令官になっている。身体の調子を崩す。寝て療養している。その時に砦の北方から敵がやって来る。主人公はこの時のために、今まで備えていたのだ。ところが身体が悪いので、司令官は町に帰って治療を受けろと言う。主人公はこの時のために何十年も待っていたのだ、敵との闘いに参加したいと希望を述べるが聞き入れられない。馬車で運ばれ、途中の宿屋の一室で身体を横たえ、死ぬのを待つばかりになる。(岩波文庫、脇功訳、2013年)
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