自称フリーランスの語学教師、黒田龍之助による外国語学習はいかに面白いものかを述べたエッセイ。語学が好きで色々な外国語に挑戦する人がいるが、そういう人が読めば面白いだろう。普通ロシア語がまず専門かのような印象があったが、驚いたのは「モスクワ、シベリア」という節で、友人が好きなものとして語学では英語を挙げているのに対し、著者は自分ならロシア語かというとそうでないとある。ロシア語は好きではないのかと思った。長年悩んできたそうだ。
好きでやる外国語学習の対極として道具、手段としての外国語があり、英語はその筆頭だろう。この著者は英語学習について変なことを言っている。「英語学習者の心理分析」という節で、英語は愛されているとか、競う英語とかあって、語学検定など競争が好きだと書いてある。これは英語が事実上の世界共通語であり、検定に合格すれば就職その他で有利だからである。現実的な理由で勉強しているのに、斜に構えたような言い方をして何が面白いのだろう。もっとも学校の英語教育でちっとも話せるようにならない、その責任を英語教師に押し付けるのは間違いだと自分も思う。すぐに学校教育が悪かったせいだ、学校教育を改善しろと言って実際に変わってきているらしいが、通じないのなら発奮してすぐ英語の勉強を始めれば良いのである。学校教育なんて基礎を教えているだけで、自分で実用英語の勉強を開始できるのならそれでいい。実用英語なんて一生使わない人も多いのだから、英語ばかりに学習時間を割くのは良くない。
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