2023年8月15日火曜日

オデッド・ガロー『格差の起源』NHK出版 The journey of Humanity 2022

著者は経済学者、ブラウン大学教授。原著の題をそのまま訳すと『人類の旅路』で、第1部、第2部に分かれ、夫々「何が成長をもたらしたか」「格差はなぜ生じたか」に論じている。邦訳名は第2部のみを指し、内容を正しく反映していないが、こちらの方が売れると思ったからだろう。

まず成長をもたらした要因。成長とは一人当たりの所得の向上を指す。生産力が上昇し生産量が増えても、人口が増加すれば一人当たりの所得は増加しない。マルサスの罠と言われている。だから人類は何千年も成長しなかった。本書では長く続いたマルサス的停滞と近代成長を共に扱う。技術進歩が産業革命を起こし、人口を増やすより一人当たりへの人的投資に資源を投入した。

格差の要因について色々原因を挙げている。過去からの惰性、地理的要因、文化的要因など多くの要因を検討している。なかにはあまり賛成できないものもある。これらの分析から、現代の低開発国の国々が成長していく情報を提供できるのだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿