若松孝二監督、87分、戦争で不具者になった軍人の帰郷してからを描く。江戸川乱歩の『芋虫』が基になっている。題名のキャタピラーは芋虫の意味。戦車や建設機械の無限軌道をキャタピラーという場合もあるが、これは外国の会社の名前が転用されている。
日中戦争で出征した兵士。映画は中国の戦場から始まる。燃えさかる中、女を追いかけている兵士。女を暴行したが火事により自分は不具者となったようだ。帰郷する。その姿を見て妻は絶句する。両手両足がない達磨状で、さらに火事で顔の一部は焼け爛れ、耳は聞こえず発声もできない。しかしながら勲章を受け、生きた軍神と祭り上げられる。妻はそんな夫を世話するしかない。リヤカーに芋虫あるいは達磨状の夫を乗せ、外に出る。みんな軍神に敬礼する。
夫は出征前、妻を石女と罵り、暴力をふるっていたのだ。芋虫となった夫に尽くしてきたが、その記憶が蘇れば今や妻は夫を虐待できる。最後には夫は庭の水溜りまで這っていき、落ちて死ぬ。ちょうど終戦となった時だった。
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