経済学とはどのような学問であるのか、経済学者は何をしているのか、また現実の経済問題に対してどう対処できるか。具体的な事項に即して随筆的、例示的に説明する。何かと批判の多い経済学を一般から弁護し、あるべき経済学者につき論じる。
第二部で「経済学者の仕事」と題し、経済学者が実際に何をしているかを書いているところなどあまり例を見ない。もっとも内容は結構常識的である。ともかくこういった章を設け解説しているのは面白い。
第4部で「マクロ経済の課題」と称し、気候変動、失業、岐路に立つヨ-ロッパ、金融は何の役に立つのか、2008年グローバル金融危機を論じる。続く第5部の「産業の課題」では競争政策と政治、デジタル技術とバリューチェーン、デジタル経済と社会的課題、イノベーションと知的財産権、産業規制を取り上げる。このような具体的問題に対して経済学的理解と処方箋の提示は極めて有益であろう。
ティロールは、経済学者は経済に対して積極的に発言し社会の改善に努力すべきであると説く。ティロールはMIT教授として世界的な名声を得ていたが、祖国フランスに戻り、経済問題の解決に取り組んでいる。事例の多くがフランスないしヨーロッパから撮られ、それに疎い者にとっては目新しい。
村井章子訳、日本経済新聞社、
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