安保騒動を背景に、一人のひねくれた大学生の生き様を描く。
まだ大学の自治会で政治を盛んに論じていた時代。主人公の男は大学生の議論や行動など役に立たないと見下す。自分はバーのマダム(高千穂ひづる)の男妾になってカネをせびっている。更に自治会の経費を遊興に流用して何とも思わない。自分が妾の子なので、社会に復讐しているつもりなのか。
男の友人の一人は家が貧窮している。男が知っているブルジョワの御曹司に仕事を世話してくれるよう頼んでくれと言う。ブルジョワのドラ息子はにべもなく断る。
ヨットなど大学仲間での遊びの集まりでも、男たちは女を性的関心の対象としてしか見てない。
この大学生仲間の一人が岩下志麻で、父親は最近自殺した。それは汚職絡みとされ、政治家(伊藤雄之助)をかばったためらしい。岩下の姉は婚約相手から婚約破棄を申し渡される。汚職をした家の娘と結婚できないと。岩下は怒って相手のところへ行くが性的嫌がらせを受けるだけである。
主人公の男は何人もの女子学生と関係を持っているが、岩下に目をつけ近づく。姉の婚約破棄を聞き、知り合いの健闘家崩れをその男の家に連れていく。ただ暴力をふるうだけでなく、刃物で傷つけたらしい。男は岩下に詩を聞かせ、その後自分のものにする。
伊藤雄之助は岩下の家が困窮しているから、姉の世話をすると言って妾にする。岩下は怒って家を出、自活しようとする。あの貧しい学生は自殺した。
岩下は主人公の、以前からの彼女から男から手を引けと言われる。男と会った岩下は軽蔑した口調で二度と会いたくないと言う。
安保反対のデモが激化するなか、男は爆弾をつくって世の中をあっといわせようと目論む。爆弾を作り、出かけようとしたところを刑事たちに傷害容疑で捕まってわめく。
岩下はデモの中、他の者たちと進んでいた。
安保騒動当時の東京の風景が色付きで見られる。ブルジョワと貧しい者の二分法が通じた時代である。爆弾を作る男は実行あるのみという発想で、約十年後の連合赤軍事件の犯人たちの原型とも言える。
学生たちの政治議論を見ていると本当に昔の話だと感じる。
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