2019年8月3日土曜日

華麗なる追跡 昭和50年

鈴木則文監督、東映東京、83分、志穂美悦子主演。
志穂美が、父の冤罪による死亡の真相を探り復讐する活劇。

映画はカーレースの場面から始まる。志穂美が優勝する。父殺しの真相が分かりかけ、敵の会社へ乗り込む。給仕の婆さんに化けて秘密の包みを盗み出す。結構笑える場面である。この志穂美が様々に変装する(女多羅尾伴内)もまた本映画の面白さの一つである。ばれて逃げ出す。男装に変わり逃げるが敵も気づく。相手をやっつける。たまたま入った部屋が楽屋で、そこにいたマッハ文朱(当時有名だった女子プロレス選手)と戦うことになる。ともかく逃げ出した。

盗んだ物は映像のスライドでそこに志穂美の父親が刑務所内で拷問にあって死んだ様子が写っていた。元刑務所所長らが直接の下手人とわかったが、背後のボスである黒幕が不明である。
ゲテモノ類を食わす店に行くとそこの娘がマッハであった。敵どもがやって来て、二人で片付ける。マッハは志穂美に気づく。

志穂美が敵の元刑務所官を追い詰めてボスを聞こうとすると、車から女が狙撃し敵の男はたおれる。敵は志穂美と同居するきょうだいのうち、妹を攫う。
敵の落とした十字架から教会名を知った志穂美は、きょうだいの兄とその教会に赴く。教会内にシスターに化けて入りこむ。箱の中に女の死体があり、それの腹を切り裂き、麻薬を取り出す。一人余分なシスターがいると気づき、志穂美はここでも格闘して逃げ出す。

止めてあった車にはきょうだいの兄はいなかった。兄は捕まえられ、その目の前で、妹が敵方のボスである政治家に暴行されるのを見せつけられる。あくまで反抗する兄は殺される。志穂美は敵のアジト(旧古河庭園の屋敷)で、兄の方の死体と甲冑に閉じ込められた妹を見つける。志穂美は妹を助け出そうとしたが敵方に殺された。志穂美も捕まり縛られ、鞭打ちの拷問を受ける。志穂美の旧友で、麻薬のため敵の手先になっていた女は志穂美を助け出そうとするが針の矢を目に受け殺される。逃げる志穂美を、敵方の一人が助ける。

敵のボスは麻薬をアジア各国に売ろうとし、代表を集める。カンボジアの代表は婆さんで、もちろん志穂美の変装である。敵どもと戦う。あの志穂美を助けた敵方の一人が麻薬捜査関係と分かる。志穂美は父の仇である敵のボスを追う。岩場に何故か爆弾が沢山仕掛けられてあって、敵は爆弾を爆破させる。志穂美はかわし、敵と戦いたおす。ボスはロープウェイで逃げた。志穂美はそれに縋り付き、空中で志穂美を蹴り落とそうとするボスとの戦いになる。最後にはボスを落とす。

娯楽映画に徹しており、志穂美の活躍や変装だけでなく、映画に求められるというエロと暴力に事欠かない。きょうだいは暴行を受けた上、残虐に殺される。女の裸体から麻薬を取り出す、針で目をつぶすなど、文部省推薦とはなりがたい場面が多い。
これらは当時の映画がかなり斜陽化していたので、観客が求める作りにしたのであろう。評論家に受ける作りではない。映画史に残る名作ではないし、つっこみどころ満載とか言っていい気になっている者を十分満足させるつくりである。
観客に対するサービス精神だけでも評価したくなる映画である。

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