近松門左衛門原作を映画化するにあたり、原作の多くの挿話を取り入れている。もっともその順序は異なる。原作では大阪三十三か所の観音巡りが冒頭に出てくるが、映画では中ほどである。映画は道行の場面が過去の各場面と交互に変わる。
宇崎演じる主人公が友人に騙されてカネを返せと迫るが、却って友人とその仲間にコテンパンにされ、池の中へ放り投げられる。この散々な目に会うところは、元の浄瑠璃なら別に気にならないだろうが、映画で人が演じているのを見ると滑稽な感じさえした。
映画で原作と違う点は、悪者の友人が懲らしめられることである。
ともかく悲劇の原因は友人が悪党であった、に尽きる。近代的な創作でない特徴と言える。
映画では主演の二人の鬼気迫る自害の場面は印象に残る。
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