2019年8月27日火曜日

西鶴一代女 昭和27年

溝口健二監督、新東宝=児井プロダクション、136分、田中絹代主演。

街娼たちがたむろする。その中で年増の田中は多くの羅漢像を見て、過去の男達を回想する。御所に出ていた若い頃。青年武士から付け文を贈られる。最初は相手にしなかったが、男の熱心な懇願にほだされ、愛し合うようになる。これが上に知れて田中の一家は京から追われ、相手の武士は首切りにされる。

東国の藩主は嫁を捜していた。京なら美人が多いだろうと老家臣が早籠で京まで来る。王子のシンデレラ捜しのように美人が集められ、藩主の好みの基準に合う女を選ぶ。なかなか見つからない。その時通りかかった田中に目が行きこれこそ理想の女だという。東国へ行く。
藩主にはいたく気に入られるが、周りの者は嫉妬する。世継ぎが誕生しこれで地位が安泰かと思いきや、もう世継ぎが生まれたから用無しだと、お払い箱になる。

故郷の父親は落胆しカネの都合のため遊女に売り飛ばす。花魁になった田中に田舎の男が大金を使って身受けしようとする。しかし贋金作りと分かり、田中も遊郭から出た。
その後東国の藩の嫁捜しを手伝った商人の家に、田中は仕えるようになる。そこの女将は田中を気に入り、禿になっている髪の手入れもさせる。この家にかつて田中が遊女だった時、遊郭で会っていた男が来る。それで田中の前歴がばれてしまい、女将は旦那を取りに来たのだろうと怒る。夜、猫に髪の毛のにおいをかがせ、寝ている女将のかつらを取り、禿だと旦那にわからせる。

また家に戻った田中に今度は実直な商人から結婚の話が来る。つかの間の幸せを味わったが、夫が追いはぎに殺される。世をはかなんだ田中は尼寺に行き仏に仕えたいと申し出る。その寺に以前の商店の番頭が来て、田中に入れ揚げた若い者が納めた生地を返せと要求する。もう着物にしてしまっている。だったら着物を返せと。田中が着物を脱ぐと男は襲いかかる。尼がやってきて田中をボロクソにけなし、寺を出て行けと命令する。
店を追われた若い男は田中に一緒に逃げようという。店のカネを拐帯してきた。二人で逃げるが、追手に男は捕えられる。

田中は三味線弾きをしていた際、二人の街娼に助けられ、自分もその仲間になる。これが映画冒頭になる。
あの東国では殿が死に、自分が生んだ若君が藩主となった。田中は捜しだされ、藩邸に行く。世継ぎを産んでおきながら遊女に身を落とすとは何事かとどやされる。幽閉を命じられたが、からくも逃げ出し、放浪の旅に出る。

数十年ぶりの鑑賞である。むやみやたらにシーンが移り変わり、次々と新しいシーンになる映画だった。
映画の初めの方で、自分の好きな男と結婚したいとえらく近代的な考えを述べる。後の方になれば受け身でされるままになる。
評価は確定しているが、それほど名作かと思った。

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