統計学の大家による偶然についての考察。
偶然の議論から始まり、確率に移り統計学の基礎概念を説明する。教科書形式でないので、読み物として読みやすいように工夫されている。
統計学の副読本的な読み方をできる前半に対して、後半は本書の独自性がある。つくづく同感したのは、いくら確率が低いとはいえ、起こってしまったことに対して、確率・統計の知見は無力という自明の理である。
ここで述べられているように、誤りが起こる際にはなぜか多くの偶然が重なりあって起こる。正直不思議に思うくらいである。
しかし問題はその対処法であろう。自分の経験に即して言えば、その際の誤りを上司に説明し、納得させるために多大な労力を費やす。しかしその誤りを再発させないための事後対応はよくとられていなかった。これは現場によって違うだろう。ただ自分の経験では上司(外部)へ弁解できれば、後はあまり気を遣わずに終わっていた。
本書にあるように、実際に事故、それも莫大な被害をもたらすような事故が起こった後の対処法については、あらかじめ十分研究、検討し、少しでも不運を少なくさせる方向を持っていく策を立てておくべきである。
責任者の追及ばかりしていて、再発防止策がおろそかになってしまっては意味がない。事故等を再発させない、あるいはその確率を小さくすることが、責任の取り方だろう。
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