2017年3月9日木曜日

森鷗外『渋江抽斎』 大正5年



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つとに名高い鷗外の代表作。中身は地方出身の医者で役人という、鷗外と同じ境遇にあった抽斎及びその親族、関係者の伝記である。
淡々と鷗外が事実を調べた書き綴り、およそ小説的な特別な事件が起こるでもない。
これは資料の一種である。もし地方の無名の研究家が自らの家系の、あるいは郷土の偉人の生涯をつぶさに調べ、書いたとしても誰が読むだろうか。そもそも他人の目に触れる機会さえないだろう。
森鷗外作となっていなかったら、評価がかなり異なるような気がする。作者が誰であっても面白いものは面白い。作者への先入観か入る読み方を自分はしていない。
 
この作品は自分が小説とか文学に期待するところと異なる。先に述べたように当時の資料としては価値がある。

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