中平康監督の日活白黒映画。『誘惑』という題の映画何作かあるようだが中平のもの。
銀座で洋品店を開く千田是也とその娘左幸子が主人公。芸術家だった千田は、自分の店の2階を画廊にするよう改造している。娘の左は仲間たちとの善衛芸術の、展覧会をそこで開きたいと思っている。費用の関係で仲間の一人が知っている、画家のグループと一緒に開催したらどうかとなる。
画家のグループの男たちと、左や千田の店で働いている渡辺美佐子との恋愛、千田にまとわりつく保険屋の轟夕起子の関係などが主な出来事として進行する。回想で、若い(はずの)千田とかつての恋人芦川いづみの登場するシーンは笑ってしまう。いくらなんでも千田は老けすぎ。
終わりの方になって画家の妹という芦川いづみが登場する。千田はかつての恋人に瓜二つで驚く。
その若い芦川に、千田はいくらなんでも気持ち悪いとしか見えない行為に出る。される方の娘の感情としてどうだろうか。いくら事情を知っているにしても。
この映画の見どころはその後有名になった俳優たちの若い姿が見られることであろう。
昭和30年代初めと言えば、大多数の日本人は貧しく「封建的」な生活を強いられていた。銀座で店を開き、芸術家をめざすとか全く絵空事なのであるが、映画が夢を売るとはこういうことかと思った。
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