まずエリエッテ自身の生まれからカラヤンに出会うまでの自伝的回想。カラヤンと出会い、結婚してからは音楽家としての夫と生活を共にした日々を綴る。
そもそもカラヤンはインタビューでも私的生活に言及することがなかったようだ。カラヤンのような有名人、そしてその妻がモデル出身の美人ということであればジャーナリズムの注目の的にならずにおかない。それでも『自伝を語る』でも私生活は一切触れていないようにこれまで不明であった事情がこの本でわかる。結婚するまでのラブ・ロマンスは物語のようだ。あれだけ音楽家として精力的に活動したカラヤンがどれだけ妻を、私生活を大事にしていたか、よくわかる。
もちろんここは妻からみた偉大な芸術家としての夫の評価であり、そこにかなり妻としての思い入れがあるであろう。しかし客観的な、人への評価はありえず、どう思うかは当然そ主観的なものである。
とんでもなく意外な挿話とかあるわけではないが、面白かったのはバーンスタインが非常に虚栄心が強かったとか、またカラヤンと共同のツァーを提案したこととか、カラヤンの死後、どれだけ本気か不明だがエリアッテに結婚を申し出たなどである。
エリアッテがカラヤンの代表的録音を挙げているが、我が国で普通の代表と見做されている盤と結構違っているのは面白い。
松田暁子訳アルファベータ社2008
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