カラヤンはまえがきで「わたし自身のことを、わたしは書くことはできない。それは語ることができるだけだ」と言っている。
まとめたエンドラーはアンチ・カラヤン派であったという。
形式は、カラヤンが語った部分は小説のせりふのように一部であり、地の文というかト書きをエンドラーが書いている。この地の文が多いため、表題は自伝を語るとなっているが、エンドラーによるカラヤンのインタビューを使った評伝のような本である。
エンドラーによる解説というか補足のような部分はそれなりに情報を提供しているのは確かであるものの、やはりカラヤン自身の語りのみで著書を作るべきであった。別の本でエンドラーがカラヤンの評価を書けばいいのである。
語られている内容で特に面白かったのは他の音楽家に対する評価である。フルトヴェングラーとカラヤンについては散々言われているものの、ここでカラヤンがフルトヴェングラーを優柔不断と言っていることだ。こういう面については知らなかったので面白く読めた。
吉田仙太郎訳白水社1989
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