2026年11月3日火曜日

吉川洋『日本―没落か再生か』新潮選書 2026

著者は日本を代表する経済学者の一人である。本書は失われた30年の日本経済の解明を主題とするが、副題にあるように、「時代精神とアニマルスピリッツ」という観点から論を進める。

日本経済(及び世界経済)に閉塞感を感じるようになって久しい。具体的な例を多く挙げているが、ニーチェのいうアポロ的、理性的な考え方とディオニュソス的な考え方を比較し、アニマルスピリッツは後者の考えだと言う。何事も計算ずくになって、収益のことしか考えなくなると、経済はダメになる。バブルの発生と崩壊はその例と言える。著者はアニマルスピリッツこそ蘇るべきだと説く。

渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』講談社現代新書 2013

著者は詩人で、現代詩への接し方、読み方を教える。詩は義務教育の国語の教科書に載せられている。その中の一つの詩を取り上げ、著者は子供が読んでも分からない詩だと言う。やさしい言葉で書いている。だからといってその詩が分かりやすいとは限らない。取り上げられている物が子供では、なじみがないものであれば、理解しにくいであろう。また詩は意味をとろうとする必要もない。意味が分からなくても、分からないからこそ、魅力を感じる詩もある。

詩は意味を伝えるものでない。感動を伝えるものでない。そう限定すると貧弱なものになってしまう。著者は後半では具体的な詩人、黒田喜夫、入沢康夫、安東次男、川田絢音、井坂洋子を取り上げ、その詩を開設している。

激しい季節 Estate violenta 1959

ズルリーニ監督、伊、100分、白黒映画。第二次世界大戦中のイタリアの避暑地。上流階級の若者たちが遊んでいる。そこにジャン=ルイ・トランティニャンが来る。ファシスト高官の息子である、ジャクリーヌ・ササールは彼を好きになる。海辺でたまたまトランティニャンは幼い娘を助ける。その母親が美貌で、惹かれる。

母親は未亡人である。この年上の女をトランティニャンは激しく愛するようになり、ササールなどはふってしまう。母親の方は、その母親から若い男との付き合いをなじられる。しかし母親の方もトランティニャンを愛するようになり、トランティニャンと共に家を出る。

トランティニャンが父親の力で兵役免除だったのも、もうできなくなり、兵役につかざるを得ない。それに母親もついて行く。列車は銃撃を受け、止まって、二人は逃げる。しかし少女が撃たれて倒れているのを見る。母親は自分の娘を思い出し、その母親を列車に乗せて送り返し、トランティニャンはひとり残る。