2023年9月26日火曜日

飯田泰之『日本史で学ぶ「貨幣と経済」』PHP文庫 2023

マクロ経済学者の著者が日本の経済史を、貨幣の観点から記述する。7世紀の無文銀賤から始まり、富本銭、和同開珎などを経て、最後は江戸末期の金流出まで書かれている。教科書に記載のある富本銭や和同開珎は交換に使われるのでなく、財政支出や税金を納めるため使われたらしい。経済の交換には絹や稲などの商品が使われていたそうだ。続く皇朝十二賤と呼ばれる12種類の貨幣を発行したのも政府の収入のためだったらしい。江戸時代の有名な改革の経済的側面についての説明も面白い。

著者は貨幣の一般的な経済学的説明をし、一方で貨幣の実際を歴史的に説明しているので、両者を繋げるのがむつかしい感じがする。学者は一般論をしたがるものであるが、まず当時の事情を説明し(歴史事実記述)、その時々に貨幣の実際を理論的に補足していった(理論的解釈)らどうか。

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