与謝野晶子(明治11年生まれ)が、少女の日を回想して書いた思い出、随筆である。少女雑誌に連載された。自伝の一種とも言える。
知られているように堺の商家に生まれた晶子、当時の日本人としてはかなり恵まれた育ちであろう。しかしここで書かれているように、決して贅沢に育てられたのではなかった。
幼い日の家族や友人たちへの思い、とりわけ少女であるから服装への関心は強く、よく言及されている。
明治十年代後半からの堺の街中、それらは今では想像もつかない幻想的な世界に思えてくる。初出の竹久夢二による挿絵が復刻、掲載されているのはうれしい。
岩波文庫、2018年
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