有名なエコノミスト金森久雄(大正13年~平成30年)の自伝とかつての経済評論を集める。
第一部は日経の「私の履歴書」に連載(平成16年)した自伝、第二部は「経済論争の回想」と題され、過去の景気局面での論争を採録している。
戦後間もなく通産省に入った金森は、やがて経済安定本部、及びその後身の経済企画庁に移る。経済の調査などに携わる。更に日本経済研究センターでエコノミストとして活躍した。
金森は一貫してケインズ派経済学の立場から、政府による需要喚起を唱えた。
本書を読んで金森は恵まれた時代に活躍したと思う。即ち日本の高度成長期と重なり、金森の強気路線は、たいてい当たった。日本経済が現在からみると一本調子で成長を続けた時代であり、基本的に経済は好調だったのである。不況は短期間で終息した。
オックスフォード大学への留学にしても上から話があり、大学からの経済の口頭試験もここに書いてあるとおりかと思ってしまう。本当かと思う記述が多く、もしそうなら日本も随分のんびりした時があったのだと分かる。
日本経済が若く、経済の調査や分析も簡単でよかったのである。
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