政治家後藤新平が関東大震災の半年後、大正13年に東北大学の学生に対して行なった講演会の記録である。ここで関東大震災を国難と言っているのではない。むしろ天啓という。当時の政治状況を批判する。政治を私物化し国際関係でも対華21か条の要求など、国難を国難と気づかず、太平楽を歌っている国民的神経衰弱こそ、最も恐るべき国難と断ずる。当時の政党は我党である、すなわち私党であると批判する。
日本の政治のあるべき姿を論じる。皇室を中心とする一大家族主義が日本の特質である。こういった観点から政治を政治固有の論理というより、倫理の方へ引き寄せて説く。かつての日本の典型的な発想に見える。民本主義など大正デモクラシーもコケにしている。
当時の代表的な政治家はこういう論調だった、という資料として読める。
藤原書店、2019
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