初出は昭和29年。丹羽文雄による小説の書き方の指南書である。
まず第一章は「小説覚書」と題して、小説を書き始めるための覚書について語る。丹羽はそんなものは出来上がると破棄してしまうと言う。公表などは死に恥を晒すようなものである。もっともそういうものが残っていれば創作過程がわかって面白いだろうとも述べる。読める覚書のうちドストエフスキーの覚書は堂々とし過ぎていると言う。この覚書とは何を指しているのだろうか。創作ノート?この時代はようやくドストエフスキー全集でも創作ノートが訳され始めた頃である。読んでその感想とも思えない。
第二章以下では、テーマ、プロット(構成)、人物描写、環境、描写と説明、形式、リアリティ、文章、時間の処理、題名のつけ方、あとがきの意義、書き出しと結び、小説片手落論、初心者の心得、結論と続く。参考として丹羽の短篇小説2篇、『女靴』『媒体』が載せられている。
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