我孫子武丸『殺戮にいたる病』のレビューに、この作品と似ていると言っているものがあった。『殺戮にいたる病』はなぜかベストセラーになっているらしいが、単に気色の悪い描写の多い猟奇殺人犯罪小説に過ぎない。このイギリスの小説を読んで、どこが似ているんだとしか思えなかった。少し考えて、多分、作者が読者に犯人を騙そうとする書き方をしているところかと思った。推理小説好きはトリックしか関心がないので、それ以外の小説のあり様に何の興味もないらしい。小説全体に関心のある読み方であれば、全く違う感想を持つ。
次のような内容である。1980年代のイギリスのブライトンというまちが舞台。そこの語学学校の教師である女は、30台後半だが独身でかなり空想的な性癖である。この学校に男の教師が赴任してくる。既婚者だが、女と男は相思の間柄になる。この女教師の生徒である18歳の童貞の若者(子供のような感じ)は、女教師に対して熱烈に恋をしている。同年代の若い子にも少し関心があるが、良心のかけらもない友人にこの女友達を寝取られたと思い悩む。それより憧れの女教師が男の同僚と恋人と分かって怒る。
途中で娼婦の殺人事件が起こる。何も名前を書いてなくて、読者に誰かと思わせるような書き方である。若者は女教師とその恋人が一緒に泊まろうと計画してるのを知り、何としても阻止すべく女教師の車を猛スピードで追いかける。そのため警察に捕まってしまう。ホテルに着いていよいよ事に及びそうになると男は乱暴を働き、女はたまたまあったナイフで刺して殺す。実は男は連続殺人犯で娼婦殺しもしていた。独身なのに既婚のように装っていた。女教師はその後も教師を続け、何の嫌疑もかからなかった。警察も男が連続殺人犯であると分かったので、逆に娼婦に殺されたのだろうと見当をつけて終わった。
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