映画はやくざの解散式から始まる。鶴田浩二が刑務所から8年ぶりに娑婆に戻る。すっかり変わっている。かつての恋人、渡辺美佐子が働いている貧民窟もどきの土地にある養鶏場に行く。自分の息子がいると知る。子供自身は知らない。
鶴田が刑務所に入るきっかけとなった土地は今では化学コンビナートが出来ている。以前の盟友渡辺文雄はすっかり実業家になり、土地の買い占め等で儲けている。その対象には、養鶏場のある土地も入っている。土地の開発を競争の業者と争っている。渡辺文雄の組は代議士と結託して利権を握っている。それを知った相手方は手を回しこの代議士を抱き込む。土地の所有者である医者に、捕まえてあったチンピラとの交換で、土地売買の書類に署名させる。更に帰る医者たちをトラックでひき殺す。渡辺文雄は殺しを自白させた録音テープで、相手方に揺さぶりをかける。鶴田は土地を巡る、今は実業家面をしているやくざ連中に切り込みをかける。
この他、かつての敵だった丹波哲郎が鶴田を襲う挿話もある。鶴田、丹波は古いやくざ、渡辺文雄は堅気になっているが、あくどいやり方で時代の果実をもぎ取ろうとする役である。
時代を感じさせる映画である。高度成長期であるから8年も刑務所に入っていれば、全く社会が変わっているのは当然である。開発を巡る利権や土地代金などはこの時期の映画によく出てくる。鶴田浩二が主演した仁侠ものはもう出来ないと、この映画は語っているようである。
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