主人公の林の苦学生時代から映画は始まる。阿片中毒に陥っている友人を助ける。阿片窟で阿片を非難するので騒ぎとなる。たまたま通りかかった政府高官が見とがめ自分の家に連れていく。中国を堕落させているは阿片であるという、彼の言い分を聞くともっともである。すっかり惚れ込んだ主人は彼を家の書生としておくことする。令嬢の婿に迎えようと考える。
息子とつるんで阿片にはまっている従兄が、家の令嬢に言い寄る。危ういところを林により助けてもらう。逆恨みした従兄は讒言をし、怒った主人は林を追い出そうとする。身の潔白を晴らすが林は家を出ていくことを決心する。
主人の友人である学者の家に住み、そこの令嬢と結婚することになる。
林が出世する一方、かつての林の友人であった男は未だ阿片にはまっている。その恋人役が李香蘭である。彼女の家も父が阿片で潰れ今は飴売りをして身過ぎしている。
李は阿片窟で阿片の悪を訴える歌を歌うので非難される。彼女の恋人は怒り二人で逃げ出す。
男は心を入れ替える。李は阿片中毒を直す薬を手に入れる。これを作っているのはかつて林と噂になった家の令嬢である。事情を李が聞くと兄は阿片で父の遺産を食いつぶしてしまったとのこと。
林は出世を続け広州の総督となる。阿片の輸入を禁止したものの、密輸が依然続いている。今は海軍の兵士となった李の夫は、密輸をしているかつての友人、つまり令嬢の兄やその従兄を騙し情報を入手し一網打尽とする。
怒った英国側は中国相手に戦争を仕掛ける。広州以外にも各地で戦闘が続き南京条約が結ばれる。林は広州の総督の地位を追われるが民衆は彼を応援する。
林が主人公であるものの、映画的には彼に関係のある三人の女性に関心がある。最初令嬢で、後に阿片治療薬の開発や対英戦でも活躍した女優が最も英雄的に描かれる。
妻となった女性は良い役ということもあってむしろ印象が相対的に薄い。
日本人なら李香蘭が最も関心があるだろう。残っているフィルムが完全でないものの、李の役も日本人の贔屓目を除いても印象に残るのではないか。
映画は阿片が諸悪の根源、英国憎しを直接表面に訴えかける。英国人も中国人俳優が戯画的に扮装している。もちろん映画の英国によって当時の対戦相手の日本をイメージしてしまうのも自然であろう。ただそういった軍国主義批判の観点だけでなく映画を映画としてみたいとも思うのである。
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