辛亥革命の13年後の記録である。革命の後の進展は事前の期待と全く違っていた。この状態を打開するため、中国で欠けている、あるいは未だならずの民族主義、民権主義、民生主義の確立の必要性を聴衆にやさしく、熱く語ったものである。
孫文は革命家でありカリスマであった。革新的な思想家でない。そのため解説でも触れられているが、内容は新規なものはなく所々首をかしげるような記述もある。
いかに自分たちの文明が優れていたかの強調も多く中国人らしい。
当時の政治経済社会状況による制約が感じられるのは当然。しかしそれが欠点というよりむしろ当時の状況を伝えていて価値があるというべきであろう。
ともかく講演なのでわかりやすく読み易いという点が良い。
岩波文庫上下2冊、昭和32年、安藤彦太郎訳
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