読んだことなくとも、この戯曲に対してイメージを持っている人が多いだろう。夫の人形に飽き足らず自立の道を選んで家を捨てたたノラは、女性解放、ウーマンリブの先駆者、象徴であると言ったような。
しかし何十年ぶりに読み直してそういった面からの解釈よりも、むしろ夫婦間の信頼性の問題のように読めた。ノラは夫のためと思ってしたことが、結果的に醜聞になる可能性が出てきた。その際、夫は外聞のみを気にし、最初はノラを非難するものの、穏健に収まるとわかると手のひらを返したような態度に出る。
このような夫に切れたのがノラである。
単に女性の自立とか言うと、現代では今更感があるだろう。男女の間の問題は永遠である。これを扱っているのなら読み継がれる。
杉山誠訳、河出書房版世界文学全集第22巻、昭和44年
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