貴族の屋敷で、代訴人デルヴィルはそこの家の娘が好きになっている男の財産について述べる。その関連で、代訴人がかつて指導を受けた金貸しゴプセックの物語になる。代訴人が若い時、同じ建物にオランダ生まれの金貸しゴプセックが住んでいた。ゴプセックから手ほどきを受ける。ある日、ゴプセック宅に貴族夫人がダイヤモンドを金に換えたいと、情人の男と一緒にやって来た。ゴプセックは引き受ける。その後少ししてから、夫人の夫、レストー伯爵がダイヤを取り返しに来る。夫人はゴリオ爺さんの冷酷な娘の一人であり、情人との間に子供まで作っていた。
後にレストー伯爵が危篤状態になり、代訴人は呼ばれる。実の息子である長男のみに財産を継がせたいと思っていた。妻の夫人は何とか夫の財産を自分のものにしたく画策していた。ゴプセック自身の死も語られる。何よりも自分の財産が大事だと思っていたゴプセックも死んではもうどうしようもできない。
代訴人は娘が好きになっている相手がレストー伯爵の息子であり、財産は問題ないと語る。ゴプセックは金貸しと言っても、別に金に汚い男ではない。いくら財産をため込んでも死ぬ時には無力であるという辺りが記憶に残る。
吉田典子訳、藤原書店、1999年
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