黒澤明監督、松竹、166分、白黒映画。
ドストエフスキーの原作を黒澤が映画化。265分の映画だったが、会社の意向で166分になった。原作のロシヤ、ペテルブルグを札幌に置き換え、登場人物も日本人にし、時代は制作の頃、戦後間もない時期とした。
森雅之がムイシュキン役、三船敏郎がロゴージン役、原節子がナスターシャ役である。原作が長篇であり、映画化するとなればどうしても脚色や短縮が必要になる。それに今残っているのは元々の映画より100分も短くなっている。それでも観ていて優れた出来栄えであった。正直なところ、この映画で原作を知ろうとする者より、原作を読んだ者の方が評価するのではないか。ドストエフスキーの小説は、本作を含め人間の言動を極端化しているので、何も知らずに観ても消化不良になる恐れがある。ドストエフスキーはあまり映画化にむかない作家だと思う。これまで観た何本かの映画化はあまり高く評価する気にはなれなかった。本作は原作そのままだとか、そういう意味でなく映画として優れた作品になっている。
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