堀川弘道監督による東宝白黒映画。
婦人雑誌社の賃上げ交渉の場面から始まる。仲代達矢演じる組合幹部は強硬に主張する。しかし彼は社長と通じカネをもらっていて、組合を分裂させる。
学校の後輩に連れられバーへ行く。そこはかつての恋人淡路恵子がやっている店だった。彼女とは学生時代の政治運動も共にした間柄であった。また当時の、運動で脚を悪くした仲間にも会う。彼は今労働者の連盟で仕事をしている。
仲代は恋人の淡路が家庭教師をしていた家に紹介してもらい、そこの夫人と関係を持ち夫の経営する雑誌社に入社したのだ。それ以来音信不通だった淡路との関係を取り戻す。
雑誌社社長に指令している財界のボスの娘が司葉子である。結婚間近の彼女の過去の素行を仲代は調べる。情報を入手すると司に近づき暴力的にものにする。却って彼女は仲代を好きになり婚約を解消して仲代との結婚を父親に頼む。父親はカネで解決しようとするが、仲代は応じない。
仲代は淡路との一緒のところを、脚の悪いかつての仲間に見つかる。自分の妻から離れろと怒鳴られる。淡路は彼と結婚していたのだった。また仲代が社長から組合を売って、カネをもらっていた事実も彼は知る。
司が妊娠している事実がわかり、これによって父親の財界のボスも仲代との結婚を許す。仲代の将来は約束されたように見えた。しかし警察から釈放された雑誌社の組合員は、仲代の当初からの裏切りを知らされ、逆上する。
制作年は安保騒動の年であり、まだ日本で左翼活動が盛んな時代であった。また経済の高度成長が本格化し、上昇志向の風潮が日本にみなぎっていた時代でもある。
つくりもの的な感じはあるものの、時代の反映が感じられる。
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