現代では進歩思想が歴史や現実を反映して、かなり説得性を失っている。そのため相対的に保守主義、というより保守的風潮が優勢になっている。著者は改めて保守主義を再考、整理しようとし、その企ては時宜を得たものである。
バーク以来の西洋保守主義の解説はわかりやすく、勉強になった。
気になるのは日本の保守主義のところである。丸山や福田のような学者、評論家はともかく、特に現代の政治家について論じている部分は気になる。政治家なら状況に対応して政治を行なっているので、主義や原理に即して評価するのは、少々違和感のようなものを覚えた。いや本書はそういうことを論じる本であり、著者は学者なのだからそういう観点から書いているのだ、と反論されよう。ただ政治は結果によって評価されるべきであるから、身近な我が国の現代については余計その気になる。
あるべき日本の保守主義で著者は戦後体験の思想的反省に立つべきと主張する(p.191)が、どういうものかイメージしにくい。
リベラルという言葉、この本で説明されているので再確認できた。意味が時代により変化している。そのため読み手に誤解を与えやすい。使用を避けるべき言葉かもしれない。
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