2017年2月16日木曜日

サッカリー『虚栄の市』岩波文庫 2003~2004



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イギリスの19世紀の代表的な小説の一。184748年にかけて発表。
時代はナポレオン戦争時から1830年代まで。刊行された際の副題では「主人公のいない小説」とあり唯一の主人公はいないものの、二人の女性、レベッカとアミーリアを中心として話は進んでいく。
二人が女学校を卒業する場面から小説は始まる。アミーリアは裕福な家庭であるが、レベッカは孤児、ただし二人は親友でアミーリアはレベッカを自分の家に来させる。

アミーリアは極めて人の好い、ただしそれだけ個性は強くないという良家の子女。人形みたいな感じもしないでないが、実際にはこういう女性が普通であったろう。それに対してレベッカは自らの才覚だけで世の中に立ち向かう才気煥発な行動的な女性である。

アミーリアの結婚は大きな山場になる。賭博好きで誠実とはいいかねる軍人と、彼女の望み通り、ただし軍人の家族には内緒で結婚する。結婚をまとめ上げた夫の友人の軍人ドビンはこの後も彼女の面倒をみる。

レベッカはしたたかに生きていく。何よりも他人に気に入れられることにかけては抜群の才能を発揮する。周囲の好意を引きつけ上流社会で寵児となっていく。道義的に感心しないことでも全く意に介さない。

二人のうちどうしてもレベッカの印象は強くなろう。善人というのは退屈である。
虚栄の市とは、なんとかして自らの名声や富を求める上流階級社会をいう。
二人の運命は変わっていき、読者を飽きさせない。巻を措くを能わずというか、page-turnerというべき書物。

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