発展する国家といつまでも低開発のままいる国家の違いはなぜか。なぜ発展できたのか、また他の国家はなぜできないのか。この疑問に取り組んだのが本書である。従来から文化的要因、地理的要因などが挙げられてきたが、著者らはそれらを退ける。ここで著者が要因としてあげるのは、政治経済法制度が包括的か収奪的かの違いである。
収奪的制度では首長が自分の利益しか考えず、国家を成長させる技術や制度があっても採用しない。それに対して包括的制度をもつ国家とはあまり聞かない用語であるが、国家内の個人や企業に自由に利益を追求させ、それを保障するような市場、法制度の整っている国家である。それにはまず中央集権国家でなくてはならない。部族等が互いに争っているような国家では無理である。著者らは自分たちの主張を実証するため、多くの数量分析を行なったそうである。ただここでは数理的な記述は一切なく、歴史記述で説明していく。この歴史記述は本書で最も量を占める。歴史書と呼んでもいい。収奪的な制度は、まず初期に国家の発展をもたらすかもしれないが、永続しないという。そうなら中国の発展は続かないとなる。(ハヤカワノンフィクション文庫、鬼澤忍訳、2016年)
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