2015年4月30日木曜日

侍ニッポン新納鶴千代 昭和30年

佐々木康監督、東千代之介主演による白黒映画。原作は『侍ニッポン』という小説で何度か映画化されているようだ。

主人公の青年新納は母と二人だけで暮らしている。相思の相手がいたが、自らの出生があいまいで破談にされてしまう。亡くなったという父の素性を母に問い詰めるが明確な回答は得られない。剣道仲間の妹が芸者に出ており、かつての恋人と瓜二つなので入れ込む。

仲間はある密使を帯びていると言う。日本を良くするためとの意図で水戸浪士一味と井伊大老の暗殺を企んでいた。新納はたまたまその一味の頭を助け、自らも仲間に加わる。しかし暗殺計画を聞くとそれが日本にとって望ましいか悩む。
 
当日になっても逡巡している新納を捨て一味は暗殺に向かう。直前に妹が新納の母に話し、それで井伊大老が新納の実父と知る。暗殺を止めに押っ取り刀で駆けつけるが、井伊だけでなく新納も一味に斬られた。

以前見た同じ原作の三船敏郎主演の『侍』(こちらの方が制作は後)と細部でつくりは異なる。

東千代之介は柔弱不断な感じで暗殺すべきか悩む、あるいは好きな女と結婚できないと酒を飲んで自棄になるなど、およそ男性的とはほど遠い。あまり魅力的な人間には描かれていない。武士制度を批判する意図であるからそういう意味では良いのであろう。

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