話の主要部分は越後高田藩のお家騒動である。家老の一人が乗っ取りをたくらむ。それを阻止しようとしたもう一人の家老(大河内傅次郎)は江戸幕府の裁定で島流しが決まる。これは悪徳家老の幕府老中への買収による。これに使われたのが藩の若い女性、江戸詰めの藩士(大友柳太朗)との婚約を解消されて藩から江戸へ送られてきた。事情を知った黄門の指令により助格は二人を助ける。女を捜してきた役人連は黄門の葵の印章を見せらせひれ伏す。
正義派の藩士たちの中心が市川右太衛門、それを助けるスリの中村錦之助。彼は悪徳家老の藩への乗っ取りの手筈を指示した手紙を盗み、黄門に渡す。黄門はこの手紙を携え、将軍綱吉に面談を申し込む。すっかり事情を知った将軍は自ら高田藩の騒動の裁定を行なうと言い出す。これにより悪徳家老は切腹を申付けられる。残党と幕府老中は黄門一党を闇討ちしようとするが反対に成敗されてしまう。
オールスター映画であって(助格を東千代之介、大川橋蔵)次々登場するスターを見ていればいいので映画としての出来を云々してもしょうがない。この映画が上映された当時は観客は楽しんで見ていただろうと想像される。
気になったのは月形38周年記念というがなぜ38周年なのか。30年とか40年のような切りのいい数字ならわかるが。
また黄門の話でいつも思うのは葵の印章(この映画では印籠でなく袋)を見せられてなぜ簡単に役人どもはひれ伏してしまうのか。偽の印章などいくらでも作れるのではないか。「この方をなんと心得ておられる。天下の副将軍、水戸の御老公なるぞ」
「なんだと馬鹿ぬかせ。御老公の名を騙る不届き者め、成敗してくれるわ」
「ギャー!」
と言って黄門が成敗される映画を誰か作ってくれないか。
黄門神話、願望によって日本人の心情を分析するのは興味深い。簡単に論じられないのでまたの機会に検討したい。
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