てっきり日活ロマンポルノの一つと思っていた。再見したらディレクターズカンパニー、ATGの作品だとわかった。
随分前に見た映画の内容をすっかり忘れていることは珍しくない。それでもこの映画の筋は覚えていた。今回見直してシーンでも懐かしく思った場面が幾つかある。
一番変わったのは印象である。
この映画の見せ場というか山場は、映画の後半というか終盤近くで女主人公が復讐のため大量殺戮をするところである。当然印象が強く、またこれについてはいくらでも突っ込みとかはできる。いくらなんでもあんなに大量殺人を銛だけでできないだろうとか、またそもそも復讐のきっかけとなった夫殺しでも、なんでわざわざ殺しまでしたのとか。
そういった細部について何か言うつもりはない。そのあたりの現実性とか関心ない。
これは女の情念というか執念を描いた映画と今回感じたからだ。
自分の愛する夫を奪われた女の凄まじいまでの復讐心。理屈も何もあったものでない。だからこそ何か言ってもと思ってしまう。全体に漂う哀愁とか悲しさも印象深い。
この映画が日本映画の名作に数えられることはないだろうが、自分にとってそういう名作扱いされている浅丘ルリ子の『執念』とか若尾文子の『清作の妻』と同じ系譜の作品である。
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