刑務所を出たばかりの男二人組は路上で、実家に向かう息子一家に会い、娘にパンを与えた。そのため空腹がひどくなり別荘を見つけそこへ押し入ろうとする。しかし別荘番の老人に見つかり打擲される。それを見た令嬢は不憫になり食事を与え、クリスマスパーティにも招待する。この別荘で二人組は雇われることになった。
息子一家を追い出した老人はさすがに心配になり小屋を見つけ、妻と娘だけでも家に泊まれと言う。嫁はそれを拒否する。老人と息子の間で口論となり息子だけ小屋から出ていく。かつて息子の許嫁であった姪も小屋に来る。良く見ると娘は既に病気と寒さのため死んでいた。明くる日快晴になり雪の中に埋もれている息子が発見される。
見た目はともかく、最初に書いたようにそれまでのチャンバラ主体の映画から純粋な映画を作成しようとした意図、話の構成は先駆的であった。
あとつまらんことだが別荘でクリスマスパーティが開かれる。それがいわゆるパーティ、つまり宴会騒ぎなのである。この当時クリスマスとかそのパーティがどの程度日本に浸透していたのか知らない。多分ほとんどの日本人には縁のない行事と思わる。最初から日本にとってクリスマスとは宴会騒ぎのことだったわけか。
フィルムセンターで10月8日にみた。徳川夢声による弁士説明版である。説明が話の前半と後半に入りその中間は残っていないので無声そのままである。これは当日の館からの説明によると昭和29年に『路上の霊魂』の復活上映をした際、徳川夢声に説明してもらった音声の録音だそうだ。徳川夢声は大正10年にこの映画が最初に上映されたときも弁士を担当したとのこと。
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