鴎の一群のうち一羽が海に降りると、原油で海面が覆われ、鴎は体じゅう油でべとべとになる。飛ぼうと思っても油で重くなり、翼を羽ばたかせるのに苦労する。ようやくのこと飛ぶが、力尽きて地面に降りる。
そこに黒猫のゾルバがいて、鴎はゾルバに頼む。卵を産むが自分はもう死ぬ。卵から孵る雛の面倒をみてほしい、飛ぶことを教えて欲しい。こうして鴎は死ぬ。ゾルバは孵った鴎の雛をみんなと一緒に育ててやり、後に飛べるよう励まし、それを叶える。
著者のルイス・セプルベダはチリに1949年に生まれる。クーデターがあり、ドイツのハンブルクに移り住む。この童話も舞台がハンブルクである。(河野万里子訳、白水Uブックス、2019年)