2026年4月2日木曜日

五匹の紳士 昭和41年

五社英雄監督、松竹、89分、白黒映画、仲代達矢主演。仲代は車で人を轢いてしまい、出世がパーになっただけでなく、刑務所に入れられる。出所前に同室の平幹二朗から金になる話があると聞かされる。出てから指示された女に会うと、3人の男を消してくれ、報酬は1500万円と言われる。

最初の男は元警察官の井川比佐志で、会ってから仲代がいない間に何者かに殺される。井川の娘、少女を上原ゆかりが演じている。上原が付いてくるので、仲代はお守り役になる。次は田中邦衛で、最後の男は中谷一郎、いづれも殺される。

殺したのは中国人2人組で、以前彼らの大金を盗んだ、それで取り返しと復讐に来たのである。金のありかは服役中の平しか知らない。出所した平は仲代を金のある所に連れていく。変電施設で平は仲代を殺そうとしたが感電死する。仲代も手傷を負った。中国人が上原を誘拐し、金と引き換えに渡す、となった。上原を車に乗せてきた中国人は、馬鹿みたいな事で警察につかまる。仲代は金を上原に渡し、以前轢き殺した男の妻のところへ持っていけと言った。仲代も長くない。

2026年4月1日水曜日

黒岩重吾『法王の牙』中公文庫 2024

副題に「病院サスペンス集」とあるように、医療関係の話を集めた短編集である。収録作は昭和35年から48年という高度成長期で、特にまだ昭和30年代は貧しい時代であった頃の話である。著者の黒岩が大阪出身であるため、大阪が舞台の作品が多い。

『病葉の踊り』は戦争の影を引きずっている。戦時の経験が当時にからんでくる。『深夜の競争』は身体障碍者の病人たちの陰湿な確執、争いが下敷きとなっており、殺人が起きその原因が、障碍者たちならではの勝負にあった。『法王の牙』では医学界の徒弟関係、大物の醜さが描かれる。ある医師の妻が失踪した。新聞公開で捜そうとすると師であり、妻の義理の親である大物医師は名誉にかかわるので強く反対する。最後に原因が分かる。大物医師の実態のひどさも。

『さ迷える魂』は容姿に恵まれない看護婦の話。新しい勤務先の病院で、そこの医師にひどく惹かれる。しかも向こうから誘ってくる。有頂天になる看護婦。しかし実は医師は麻薬中毒であり、それを婉曲に隠すための方策の一つに使われていたと最後に分かる。『造花の値段』ではかつて上司に背いたので出世できないサラリーマンが主人公で、癌にかかっているのではないかと疑う。残りの人生が少なければやりたいことをすべきである。会社の機密を持ち出し、妻子を捨てて以前知った、四国の温泉の旅館の女中を訪ねる。その女中にひどく惹かれていたのである。女中とともに旅行で遊び、東京に戻ってくる。機密と引き換えに大金をせしめたが、実は女中には男がいて、大金と共に夜逃げする。主人公は自殺する。『最後の踊り』は戦時中、軍医とその下働きの男が戦後に病院を起こす話である。

2026年3月30日月曜日

ストリンドベリ『幽霊ソナタ』 Spoeksnaten 1907

室内劇と呼ばれる、ストリンドベリが自分の劇場で上演するために書かれた比較的短い劇。ある家の近くに車椅子に座った老人がいる。学生に声をかける。老人は学生をその家の魅力的な若い女と娶せるつもりである。昔、老人と学生の親が敵同士であった。

老人は家に入りそこの主人に命令する。最初は怒っていた主人であるが、老人が昔の事情を知っていると分かり納得する。この家の戸棚の中にミイラとなった老婆がいる。その老婆は老人のかつての恋人だった。老婆によって今度は老人の過去の実際が暴かれる。別の部屋、時間が経っているであろう、学生と若い女が対面している。学生は女に向かい恋情を打ち明ける。二人の会話は彷徨うように続き、劇は終わる。

2026年3月29日日曜日

ストリンドベリ『死の舞踏』 Doedsdansen 1900

2部から成る劇。島にある円形の要塞塔。その住人である大尉とその妻は、長年この島に住んでおり、ストリンドベリの他の劇のように夫婦間の不和がある。そこに久方ぶりに知り合いのクルトがこの島に勤務することになり訪れる。夫婦はそろって歓迎する。大尉は島の者たちともうまくやっていけず、非常に狷介な策士である。夫とこの島にうんざりしている妻はクルトに夫についてあれこれ言う。

後にこの島にクルトの息子が赴任する。大尉は自分の思うようにクルトの息子を配属させようとし、僻地に勤務させる手配をする。大尉に娘がいる。クルトの息子もまた他の士官も娘に惚れている。大尉は島の部隊長と結婚させようとしていた。クルトの僻地への出発の日になる。大尉の娘は結婚が予定されていた部隊長に暴言を吐き、破談にさせる。大尉は死んでしまう。残った者たちはお祝いをする。

2026年3月28日土曜日

ストリンドベリ『罪また罪』 Brott och brott 1899

4幕の劇、パリが舞台。劇作家モーリスは愛人ジャンヌとの間に、幼い娘マリオンがいる。モーリスは今夜上演される自分の芝居の成功を気にかけている。モーリスの親友、画家のアドルフの愛人アンリエットにモーリスは食堂で出会う。二人は惹かれ合う仲になる。モーリスの劇は大成功となり、モーリスも名士入りとなる。

モーリスとアンリエットが二人で出会う。駆け落ちの話をする。娘のマリオンが気になり、いなくなればと口にする。後に食堂でアドルフ、ジャンヌ、アンリエットがいるところへモーリスも来る。モーリスは娘のマリオンが死んだと聞き驚愕する。

しかもその殺人容疑がモーリスにかかっているという。二人が口にしたマリオンがいなくなればという句を聞いた者がいた。モーリスは逮捕され、劇の成功も取り消される。名声から一挙に殺人犯となった。しかし後になって娘の死は病気によるもので殺人でないとモーリスの嫌疑は晴れた。

2026年3月27日金曜日

ストリンドベリ『ダマスカスへ』 Till Damascus 1898

全体で3部ある劇の第1部。「見知らぬ人」が主人公である。彼は街である婦人と知り合いになり、その世話になり、家に行く。夫は医者であった。「見知らぬ人」は奇人であり人とうまくやっていけない。彼は後に放浪で乞食に会ったり、婦人をその夫から奪うように自分の伴侶として、婦人の実家である家に行ったりする。

ストリンドベリ自身が「見知らぬ人」のモデルであり、自分の最初の妻シリとの出会いや結婚を下敷きにして書かれている劇である。後に第2部、第3部が書かれたが、第1部が有名でこれのみの上演が多いそうである。

2026年3月26日木曜日

鑑賞用男性 昭和35年

野村芳太郎監督、松竹、89分、総天然色、有馬稲子主演。デザイナーの中林洋子の随筆にヒントを得て作られた。有馬扮するファッション・デザイナーはパリから帰国する。男にも女の鑑賞に耐える服を着るべきと言い、鑑賞用と称する男服を作る。それを有馬の縁続きが社長をしている広告会社では制服にして社員に着せようとする。ステテコ風のおかしな服である。

社員の杉浦直樹は断固反対し、背広で通す。有馬と杉浦は内心は惹かれ合っていたが、服装観の相違で対立する。会社の方針に反対した杉浦は北海道支社に飛ばされる。転勤が決まり準備をしている杉浦に、有馬も自分の本当の気持ちが分かり杉浦と結婚することになった。