2026年11月4日水曜日

野郎!地獄へ行け 昭和35年

井田深監督、日活、63分、白黒映画。中年の男が建設現場を歩いていると、上から鉄材が落ちてきて死ぬ。新聞記者の小高雄二は取材で現場に行くと、死んでいるのは恋人の父親と知る。しかも死後の解剖で、麻薬中毒だったと分かった。娘は信じられない。小高も単に事故でなく何かあると、調べようとする。

不動産会社に勤める中年男は見知らぬ儲け話があると持ち掛けられる。ある物を別の場所に運び、見返りにある物をもらってくる。非常に巨額の報酬で、承諾しその仕事を請け負う。これは実は麻薬の取引の運び屋として使われているのである。冒頭の殺された男もそれをしていて、真相に気づき殺されたのである。新しい運び屋になった不動産に勤める者も、後に殺される。映画冒頭で殺された男の娘は父の持ち物から、あるキャバレーの名が出てきて、探るためにそこに行く。ピアノ奏者を募集しているので、応募し雇われる。このキャバレーの社長が麻薬取引のボスだった。その女が、素人に麻薬運びをやらせている者だった。

この社長のところへ殺し屋が売り込みに来る。雇う。しかしこの男は香港の元締めから派遣されてきた者でないかと疑い、殺そうとする。また店で働いている娘は、不審なところから怪しまれる。また小高もこのキャバレーに目をつけ来ていた。すると自分の恋人がピアノを弾いているので驚く。小高も娘も店の用心棒らに捕まり、この店が危なくなったので、社長は高飛びしようとする。殺し屋と小高を消すために、ダイナマイトをしかけておくが、これを消し、社長らの後を追う。警察も出動してきて、最後は悪漢どもと警察の銃の撃ち合いになる。悪人たちは捕まり、殺し屋を自称していた男は麻薬Gメンだと分かる。

駒木爽『精神科医おどおど日記』 三五館シンシャ、フォレスト出版 2026

著者は、関東の某県にある病院に勤める精神科医。精神科がどういうところか、精神科医がどんな風に仕事をしているか、が分かる。実際、精神科とはすごいところで、そこに来る患者及び家族は想像もつかない人が多い。改めて人間というものの多様性、幅の広さを知る。

著者は元々外科医志望で、外科医として医師を開始したのだが、勤めた初期の病院で、上の医師にこき使われ、ほとほと外科医が嫌になり、転科したのである。精神科医には他の科から変わってきた医師が多いという。書いてある内容は面白いといっていい例もあるが、精神科では自殺という最悪の結果になる場合もある。そんなことが起きると担当医は相当こたえ、何年経っても忘れられないようだ。

2026年11月3日火曜日

吉川洋『日本―没落か再生か』新潮選書 2026

著者は日本を代表する経済学者の一人である。本書は失われた30年の日本経済の解明を主題とするが、副題にあるように、「時代精神とアニマルスピリッツ」という観点から論を進める。

日本経済(及び世界経済)に閉塞感を感じるようになって久しい。具体的な例を多く挙げているが、ニーチェのいうアポロ的、理性的な考え方とディオニュソス的な考え方を比較し、アニマルスピリッツは後者の考えだと言う。何事も計算ずくになって、収益のことしか考えなくなると、経済はダメになる。バブルの発生と崩壊はその例と言える。著者はアニマルスピリッツこそ蘇るべきだと説く。

渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』講談社現代新書 2013

著者は詩人で、現代詩への接し方、読み方を教える。詩は義務教育の国語の教科書に載せられている。その中の一つの詩を取り上げ、著者は子供が読んでも分からない詩だと言う。やさしい言葉で書いている。だからといってその詩が分かりやすいとは限らない。取り上げられている物が子供では、なじみがないものであれば、理解しにくいであろう。また詩は意味をとろうとする必要もない。意味が分からなくても、分からないからこそ、魅力を感じる詩もある。

詩は意味を伝えるものでない。感動を伝えるものでない。そう限定すると貧弱なものになってしまう。著者は後半では具体的な詩人、黒田喜夫、入沢康夫、安東次男、川田絢音、井坂洋子を取り上げ、その詩を開設している。

激しい季節 Estate violenta 1959

ズルリーニ監督、伊、100分、白黒映画。第二次世界大戦中のイタリアの避暑地。上流階級の若者たちが遊んでいる。そこにジャン=ルイ・トランティニャンが来る。ファシスト高官の息子である、ジャクリーヌ・ササールは彼を好きになる。海辺でたまたまトランティニャンは幼い娘を助ける。その母親が美貌で、惹かれる。

母親は未亡人である。この年上の女をトランティニャンは激しく愛するようになり、ササールなどはふってしまう。母親の方は、その母親から若い男との付き合いをなじられる。しかし母親の方もトランティニャンを愛するようになり、トランティニャンと共に家を出る。

トランティニャンが父親の力で兵役免除だったのも、もうできなくなり、兵役につかざるを得ない。それに母親もついて行く。列車は銃撃を受け、止まって、二人は逃げる。しかし少女が撃たれて倒れているのを見る。母親は自分の娘を思い出し、その母親を列車に乗せて送り返し、トランティニャンはひとり残る。

2026年10月31日土曜日

革命する大地 La revolucion y la tierra 2019

ゴンサロ・ベナベンテ・セロ監督、ペルー。111分。ペルーの現代史の記録映画である。1960年代末に起こったベラスコ将軍によるクーデターにより成立した政権がとった、農地改革法はペルーの社会を変えた。その評価は立場によって様々である。

映画はそれに先立つ、19世紀にスペインから独立した後から続く、ペルー社会の支配構造の問題を描く。社会が分断されている中で、様々な政権が成立し、施策を行なってきたが、社会は良くならない。ベラスコ大統領による農地改革は、大いに期待されたが、社会は必ずしもうまくいっていない。ペルーという国の歴史の理解できる映画である。

不死の怪物 The undying monster 1942

ジョン・ブラーム監督、米、63分、白黒映画。イギリスの田舎にある邸宅、そこの家の妹は兄が帰ったか、医者のところに電話する。今帰ったと答え。しかしその後叫びが聞こえ、妹は召使を連れて馬を駆け、見に行く。崖の下で兄が負傷して倒れている。また看護婦が意識不明で横たわっている。屋敷に連れてきて介抱する。兄は意識を回復できたが、看護婦の方は危ないかもしれないと言われ後に亡くなる。

何があったか、兄に聞いても、はっきりした返事は得られない。何かに襲われた、しかしそれが何かは不明である。ロンドンの警視庁から探偵とその女助手が派遣され、捜査する。何かこの屋敷には秘密があるらしい。執事や兄など、ロンドンから来た探偵をなるべく早く返したいらしく振舞う。またこの家の知り合いである医師も怪しげである。

最後に妹が何者かに攫われる。海岸べりの崖のところに連れて行かれる。探偵や警察が追っていく。何者かと探偵は格闘する。灯りに照らされた、犯人は狼男と化した兄だった。警察に銃撃される。兄はこの家の伝統的な病気にかかっており、医師も治そうとしていたのだが、出来なかったのである。