2025年10月5日日曜日

プルート・ナッシュ The adventure of Pluto Nash 2002

ロン・アンダーウッド監督、米、95分。エディ・マーフィ主演。21世紀後半、月には人類が居住するようになっていた。その中のリトル・アメリカという都市で、マーフィは流行らない店を買い取る。ギャングに借金返済が出来ない主人から、借金を肩代わりし返済し、その店を改造し所有主となった。

数年後、大いに繁盛している。若い歌手志望の女がやってくる。勤める予定だった店がなくなっていた、使ってもらえないかと。マーフィは女給として雇う。この店を買い取りたいと言って来る者が来た。断ると店に爆弾を仕掛け、爆破してしまう。その犯人をマーフィ、女、マーフィが使っている用心棒のロボットで追いかける。派手な立ち回りがある。

相手側はマーフィを消そうと殺し屋を雇う。殺し屋一党はマーフィたちを狙うが、マーフィらはマーフィのファンに助けられる。マーフィは殺し屋の背後にいるボスを突き止めようとする。そこに行く。するとマーフィと瓜二つの者がいた。マーフィのクローンで、今は月世界のボスとなっている。マーフィは自分のクローンと戦う。同じ見た目なので、見ている子分など区別がつかなくなる。最後はマーフィはクローンを倒し、店は再び繁盛する。

2025年10月3日金曜日

狂った一頁 大正15年

衣笠貞之助監督、79分、無声映画。芸術的な映画を作ろうとする衣笠の計画に、横光利一や川端康成などが協力して作成された。実験的、表現主義的映画である。

精神病院が舞台である。豪雨の中、映画は始まり、踊り続ける女が出てくる。ここで働くこ使いの妻が入院している。こ使いはかつて妻子を顧みなかった。妻子は自殺した。妻は自分のみ助かったので悔いて、精神がおかしくなった。後に娘が現れ、結婚しようとする。こ使いは自分の妻を病院から出させようとするが、失敗する。こ使いは病院の医師と格闘し、倒す。これらは幻想であったか。ともかく字幕が全くついておらず、単に画面だけを追っていても筋はよく分からない。筋を確認してから見るべき映画である。

2025年10月2日木曜日

西部戦線異状なし All quiet on the western front 1930

ルイス・マイルストン監督、米、136分。レマルクの同名の小説の映画化。アメリカ制作なのでドイツの登場人物達は英語を話す。フランス娘のみ仏語。

第一次世界大戦が始まり、ドイツの学校では教師が生徒らに戦争へ駆り立てる講義をしている。仲間らと入隊する。教育訓練役は以前は郵便配達夫であった男である。気楽に話しかけると上官だと𠮟り飛ばされる。しごきのような訓練をする。戦線に出る。最初の戦闘から、仲間の一人が死ぬ。後に戦闘をする度に仲間は犠牲になっていく。フランス娘たちとの付き合いもあった。

数年後、主人公は一時帰郷する。家族は喜ぶ。かつての学校に行くと相変わらず教師は生徒らに戦争賛美の話をしている。主人公が来たので英雄扱いし、何か話せと言う。主人公は悲観的な話しかしないので、生徒らは怒る。軍隊に戻る。かつての仲間と再会し喜ぶが、その仲間は戦死する。主人公も最後に狙撃されて映画は終わり。

2025年10月1日水曜日

昆虫怪獣の襲来 Monster from green hell 1958

ケネス・G・クレイン監督、米、71分、白黒映画。宇宙ロケットに虫などを入れて発射し、影響を調査していた。そのうち蜂を入れたロケットがアフリカに落ちた。アフリカでは怪物が出て、環境、動物に被害を及ぼしていた。当地の医師は一隊を引き連れ調べに出かける。しかし巨大蜂に襲われる。

アフリカに落ちたロケットを調べに、アメリカの科学者が来る。そのアフリカ横断がかなりの尺を占める。怪獣映画かと思ったらアフリカ探検映画かと思うほどである。ここの部分は他の映画からフィルムを借用して作ったらしい。苦難の道中で、科学者は病気になる。気が付いたら目的地に着いていた。医師の娘に会う。父親がまだ帰ってこないので心配している。連れて行った黒人が帰ってきて医師が殺されたと告げる。怪物に、である。調べると蜂の毒で死んだらしい。

科学者らは調査に出かける。医師の娘も同行する。途中で村人全員が死んでいる場所があり、運搬役の現地人はみんな逃げる。後は科学者らだけで行くと、巨大な蜂の群れを見つける。手榴弾でも死なない。襲われそうになり洞窟に逃げる。入口は爆弾が破裂し塞がってしまったので、奥に進む。ようやく地上に出られた。その時火山が噴火し、溶岩が流れる。その溶岩によって巨大蜂群は絶滅した。

2025年9月30日火曜日

宇野浩二『世にも不思議な物語』 昭和28年

これは昭和24年に起きた松川事件の裁判に著者が関わり、有罪判決の出ていた被告らや現場など訪れ、事件と判決に対して著者の意見を書いたものである。

松川事件は東北本線の福島市の南にある、松川駅の手前で起きた汽車脱線転覆事故である。乗車員の3名が亡くなった。昭和24年8月の出来事で、先月7月に下山総裁怪死事件、三鷹事件が起こり、国鉄に怪奇な事件が相次いで発生したので、戦後史の中でも注目を集めてきた。松川事件では線路を外す工作がされており、犯罪と分かった。捜査の結果、未成年を逮捕し、その供述から東芝と国鉄の労組員が容疑者として逮捕される。25年の第一審では死刑5名を含み20名全員有罪となった。

宇野は知り合いの作家広津和郎らと被告ら、事件の関係者に会い、現場を訪れる。それで第二審判決の直前に、この『世にも不思議な物語』を発表した。宇野は本書で被告らに会い、その眼が澄んでいるので犯罪者ではないと断じている。今読んでも、眼が澄んでいるかどうかだけで、犯罪者であるかどうか判断できないと誰もが思うだろう。実際、当時、マスメディアから散々嘲笑されたという。広津和郎の発表した文も叩かれた。直後に出た第二審では数名無罪が増えたが、やはり死刑その他有罪判決が主であった。最終的には昭和36年に全員無罪の判決が出た。(宇野浩二全集第12巻、中央公論)

志村五郎『記憶の切絵図』ちくま学芸文庫 2021

数学者の志村五郎(1930~2019)の自叙伝。書名の切絵図とは志村の家が、江戸時代に切絵図を作っていて、自分の生まれ育った場所もその切絵図内にあるところから来ているようだ。

後にアメリカに渡り、有名な数学者になった。これを読むと志村は非常に自信家で自ら思ったことをはっきり言う。それがこの著書全体にも良く表れている。学者だから当然そうで、そうでなければ学者になれないだろうと思われる。それが学問の世界以外にも志村の生き方に現れている。最初の百頁くらいは戦前の東京がどんな感じであったかの一例として面白い。そこにも書いてあるように当たり前のことは誰も書かないから、時代が変わると後代の者は全く知らない、思いもよらない事柄が多くあると思う。(2008年、筑摩書房刊が初出)

2025年9月28日日曜日

土と兵隊 昭和14年

田坂具隆監督、118分、日活。火野葦平の小説を映画化したもの。戦時中に実際に戦っている中国で撮影されているため、後年の戦争映画には真似ができない迫真性がある。

中国大陸を行く日本の兵隊たち。戦闘で倒れる者もいる。雑談などの平和な時もある。最後の方の戦闘では敵のトーチカから激しい銃撃があり、兵士らの苦戦が描かれる。敵の兵士は見えない。なんとかトーチカに近づき、手榴弾を投げ込み勝利する。国策映画なので、いかに日本兵が勇敢に戦うか、また兵士たちが和気藹々として仲が良いか、美化されているのは当然である。