2026年3月11日水曜日

ジロドゥ『トロイ戦争は起こらない』 La guerre de Troie n'aura pas lieu 1935

戯曲である。ホメーロス『イリアス』を下敷きにしている。トロイのパリスがギリシャからヘレンを攫ってきて、ギリシャ軍が取り返しに来る。その直前が舞台である。ヘクトールはパリスにヘレンをギリシャに返せと言う。そうすればギリシャとの戦争は避けられる。しかしパリスは渋る。

後にオデュッセウスが交渉にやってきて、ヘクトールと話し合いをする。話し合いの結果、ヘレンを返すことでオデュッセウスは納得し、帰っていく。ホメーロスの原作に出てくる人物以外の登場人物もあり、ヘクトールが戦争回避をしようとする役目である。

2026年3月10日火曜日

青木恵子『基本は誰も教えてくれない日本人のための世界のビジネスルール』ディスカヴァー・トウェンティワン 2015

著者は世界でレストランを経営するCEOである。世界、特にアメリカで仕事をするための心得集である。ここで述べられている項目の多くは、たいていの者が聞いているか知っているだろう。知らない項目が多い人は、よほどの若年者で本を読まない人である。

もちろん新たな情報も得られた。例えば「商売相手として、世界中の人たちから信頼されているのは、アメリカ人、イギリス人、ドイツ人、日本人です。」(本書p.124)といったところなどである。またちょっといただけないのは日本人について一般論をしているところで、「日本では、「週末は父親が仕事か接待ゴルフ、母親は子どもと一緒にお出かけ」というパターンが多いようですが」(本書p.207)とある。そういう話をよく聞くが、そんな日本人はごくごく少数である。話を盛っているのではないかと思わせる。

吉本隆明『今に生きる親鸞』講談社α+新書 2001

思想家の吉本隆明が親鸞の思想について語る口調でやさしく解説した本。目次は次のようになっている。「序章」親鸞との出会い「第1章」親鸞の生涯「第2章」親鸞の思想「第3章」親鸞の言葉「第4章」今に生きる親鸞、となっている。啓蒙書であり、親鸞入門として優れていると思われる。

2026年3月9日月曜日

ミルドレッド・ピアース Mildred Pierce 1945

マイケル・カーティス監督、米、111分、ジョーン・クロフォード主演。クロフォード演じる主人公ミルドレッド・ピアースがいかに生き、どういう報いを得たかの映画。映画は初めは男が銃で撃たれて倒れるところから始まる。クロフォードは友人の不動産屋を自分の家に連れてくる。不動産屋はいつの間にかクロフォードがいなくなって、外に出られず、男の死体があると気づく。なんとか外に出、パトカーが来たので家に死体があると告げる。警察の場面になり、最初の夫は自分が犯人だと言う。クロフォードはこれまでの人生を語る。過去の回想が映画の主要部分である。

最初の夫は失業したので、二人いる娘を不自由なく育てるため、クロフォードは女給になる。そのうち経営に乗り出す。以前からクロフォードに好意を持つ不動産屋が手伝う。店を出す手頃な物件があった。その持主はプレイボーイだった。店の事業は成功し発展する。クロフォードはプレイボーイと恋仲になる。しかし遊んでいるうち次女が病気になり死ぬ。初めの夫とは離婚する。長女は贅沢させるが、長女は母親とその事業を嫌っており、仲を深めた相手から妊娠したと偽り大金をせしめるようになっていた。母親と衝突し家を飛び出す。後に娘を連れ戻すため、あのプレイボーイと結婚し、上流のような生活を始める。娘をプレイボーイだった夫が連れ戻してくる。

ところが娘は母親の夫であるプレイボーイと結婚するつもりでいた。これをプレイボーイと母親の前で言う。しかしプレイボーイはそんな気はないと言いだす。娘は拳銃を取り出しプレイボーイを撃って殺す。これが映画の最初の場面になる。クロフォードは娘を助けるため自分がしたと言うのだが、警察は逃げようとしてた娘を連行してくる。娘は服役し、クロフォードは最初の夫と警察を出る。

2026年3月7日土曜日

要心無用 Safety last! 1923

F・C・ニューメイヤー、S・テイラー監督、米、73分、無声映画、ハロルド・ロイド主演。ロイドは恋人と別れ、田舎から都会に出て百貨店に勤める。恋人には偉くなったような手紙を書くが、実際は平の売り場担当である。その恋人が都会にやって来てロイドの百貨店に来る。いかに自分が偉いか見せるため、あの手この手の工夫をする。ロイドは馘を言い渡される。

社長と部下が話し、百貨店を有名にする宣伝を出来た者には大金を支払うという話を耳に挟み、さっそくそれを実行すると申し出る。百貨店の壁を屋上まで登るというのである。予め予告していたため、多くの人々が見に集まる。ロイドは高い所に登るのが得意な友人に、2階以上は代わってもらうという約束をした。ところがその友人が警官に追われ、なかなかロイドと交替できない。とうとうロイドは屋上までのビルの壁を登らざるを得なくなる。途中で時計にぶら下がる場面は有名である。屋上にたどり着き、恋人と法要接吻する。

2026年3月6日金曜日

詩人の血 Le sang d’un le poete 1932

ジャン・コクトー監督、仏、50分。前衛映画の代表作。フランス革命当時の貴族のような鬘をしている男がカンバスに顔の線画を描いている。その絵の口が動く、その部分を消す。すると今度は画家の手の平に口が現れる。女の古い胸像があってその口に手を当てると、像は生き始め、男に壁にかかっている大きな鏡に飛び込めと言う。水が張ってある鏡の枠の中に飛び込む。ホテルの廊下で鍵穴から部屋の中を除く。メキシコ人が銃で倒れ、フィルムを逆回しで元の位置に戻る。少女が部屋の上の方、天井に這っていく。銃で自分の頭を撃つ男が出てくる。最後の方では胸像から生れ出た女とテーブルに座る若い男が銃でこめかみを撃ち死ぬ。

アンダルシアの犬 Un chien Andalou 1928

ルイス・ブニュエル監督、脚本にダリ参加、フランス、21(15)分、無声映画。冒頭の女の目を剃刀で切る場面から、非現実的映像が続く、非現実主義映画の代表作。

手の平に出入りする蟻、女と男の絡み、自転車に乗る道化風の衣装を来た男の転倒、人間の片腕を杖でつつく、若い女が車道で轢かれる、男同士の部屋での争い、一人が引きずる多くの物、その中には驢馬の死体が乗ったピアノなど。海辺の男女、砂の中に埋まる等々、現実離れした画面の連続の映画である。なおインターネットには上映時間21分とあるがIVCのDVDでは15分のみだった。